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栗きんとん

(くり)

ほっくりした食感と栗の甘い香り、秋の味覚

岐阜県美濃地方の秋の味覚「栗きんとん」は、栗本来の風味と上品な甘さが楽しめる伝統和菓子です。江戸時代から中津川市を中心に作られてきた茶会では欠かせない郷土菓子で、観光客に人気の高いお土産になっています。蒸した栗に砂糖を加えて炊き上げ、茶巾絞りで栗の形に仕上げた一品です。

しっとりとした甘さの高級和菓子

栗きんとんは、岐阜県の美濃東部名産の栗を使った、秋の味覚を代表する高級和菓子です。生栗を皮のまま茹で、中身をすくい出して裏ごししたものに砂糖と塩で味を調え、弱火で練り上げたものを茶巾で軽く絞って作ります。

蒸した栗を炊き上げるため、水分は栗から出るものだけで十分にしっとりしています。おせち料理の栗きんとんとは異なり、粘り気はなく、茶巾絞りで栗の形をしています。栗そのものの風味を存分に味わえます。

恵那・中津川地方では栗栽培農家が多く、昔から栗の栽培が盛んで、秋から冬にかけて収穫された栗を使った料理やお菓子が各家庭に伝わっています。栗きんとんはその中でも江戸時代から人気の素朴なおやつです。

歴史・由来

最初は山栗を茹でたり焼いたりして食べていましたが、やがて茹でた栗を布巾で絞る栗きんとんの原型が生まれ、これが現在の栗きんとんの始まりとされています。

栗きんとんの発祥地とされる中津川市は、江戸時代に幕府の直轄道路「中山道」が通り、江戸と京都・大阪を結ぶ重要な宿場町として発展しました。このため、お茶に合う美味しい菓子が求められ、菓子職人たちは腕を競い合い、特産の栗を使った菓子を次々に生み出しました。栗きんとんもその一つです。

9月9日の重陽の節句(栗節句)には、長寿を祈り栗料理や栗菓子を食べる習慣があります。毎年9月から冬にかけて栗が美味しい季節になると、栗きんとんを求めて県内外から多くの人が中津川を訪れます。

作り方

生の栗を茹でて中身を取り出す。
砂糖や塩を加えて温め、なじませる。
鍋に入れて弱火でよく練る。
練り上がったものを水で湿らせた布巾で絞り、形を整える。

楽しみ方

9月上旬から12月上旬にかけて、東濃地区の和菓子店で販売されます。店ごとに味わいや食感が異なり、食べ比べも楽しめます。栗きんとんを使ったパフェやケーキなどのアレンジスイーツも人気です。

主な伝承地域:
岐阜県東濃地区とその周辺エリア(中津川市、恵那市、坂下町など)

購入場所:
東濃地区の和菓子店
中津川市や恵那市の道の駅
岐阜県の土産物店

おすすめのお店:
川上屋本店(中津川市)
すや 本店(中津川市)
田丸屋商店(中津川市)

Information

名称
栗きんとん
(くり)

中津川・恵那・多治見

岐阜県