エゴマは、飛騨地方では「あぶらえ」と呼ばれ、昔から祭りなどでは欠かせない食材の一つ。エゴマ味噌にしたものを、五平餅に付けて食べたり、和え物にしたりと、この地域の人々の食生活に密接に関わっている。「あぶらえ」には、血液をさらさらにする効果があると言われているα-リノレン酸がとても多く含まれており、現在注目されている食材でもある。飛騨地方で栽培された「あぶらえ」には、ルテオリンという体の中のさびを取ると言われる成分が、他の産地より多く含まれていることが判明している。
旬 11月 12月
アブラエは、シソ科の一年生草本で、日本ではシソとは異なる作物と見なされていますが、植物学的にはシソと同じ種に分類されます。江戸時代の「農業全書」には、「ゑごま(白蘇)」という名前で描かれ、同じくシソの一種である「紫蘇」とも記されています。
アブラエはアジア原産の油料植物で、日本だけでなく中国、韓国、東南アジアの北部、ヒマラヤ山脈周辺でも栽培されています。日本では縄文時代中期の遺跡からも出土し、5000年前の時代から食べられていたと考えられています。岐阜県飛騨地域や長野県南部、福島、埼玉、石川、山梨など一部の地域では「アブラエ」と呼ばれますが、一般的には「エゴマ」と呼ばれています。この呼称は韓国語で「野のゴマ」を意味する「Yim」から派生したと考えられています。
他にも「ジュウネ」(青森、岩手)、「ジュウネン」(宮城、福島、秋田)、「エ」(北陸、東京、山梨、愛知、岐阜、滋賀)などの呼び名もあります。 「ジュウネン」は、これを食べると「十年」もしくは若返るという説がありますが、また別の説では、韓国南部の方言である「Jeun(荏)」または「柔荏」に由来しているとも言われています。同様に、「アブラエ」や「エ」も中国語の「荏」に由来しています。