飛騨一宮水無神社は、岐阜県高山市にある歴史ある神社です。式内社であり、飛騨国一宮として知られています。旧社格は国幣小社で、現在は神社本庁の別表神社に指定されています。
この神社は岐阜県北部の高山市の市街地南方に位置し、西南方の位山(くらいやま、標高1,529m)を神体山として祀っています。飛騨国の鎮守・祖神として古くから斐陀国造によって崇敬されてきました。また、左甚五郎作の稲喰神馬が安置されており、地元の人々に親しまれています。
祭神は以下の15柱で、水無大神(みなしのおおかみ)と総称されます。
主祭神
御歳大神 - 「水無神」と呼ばれます。
配神
大己貴命、三穗津姫命、応神天皇、高降姫命、神武天皇、須沼比命、天火明命、少彦名命、高照光姫命、天熊人命、天照皇大神、豊受姫大神、大歳神、大八椅命
水無大神は地名に由来すると考えられ、御歳大神とする説のほか、八幡神などとする説もあります。
創建の年代は不詳ですが、清和天皇の時代には従五位上の神階の記事があり、『延喜式』では小社に列格し、飛騨国の一宮とされました。鎌倉時代には「水無大菩薩」と称し、社僧が奉仕しましたが、戦国時代の戦乱で祭祀が途絶え、附近の寺が管理するようになりました。
1773年(安永2年)の安永騒動(大原騒動)では、水無神社が農民の決起集会の場所となり、騒動に加担した神職の山下和泉守と森伊勢守が磔に遭いました。その後、信濃国今井より梶原家熊を招き、唯一神道に基づいて仏教を一掃しました。1871年 (明治4年) には国幣小社に列格され、戦後は神社本庁の別表神社に指定されています。
文化財
木造飛騨一宮水無神社神像(県指定重要文化財 彫刻)、水無神社の大スギ(県指定天然記念物)、水無神社の神事芸能(県指定重要無形民俗文化財)、水無神社絵馬殿(市指定文化財 建造物)
祭事
1月1日 歳旦祭、2月2日 節分祭、4月3日 飛騨生きびな祭り、養蚕祭、5月1日・2日 例祭(1日:試楽祭、2日:本楽祭)、6月30日 大祓、7月 奥宮祭
昭和7年(1932年)には例祭で用いるどぶろく醸造許可を得ました。1945年(昭和20年)には熱田神宮の神体(天叢雲剣)が一時避難していたことがあります。また、昭和27年(1952年)より養蚕と農業の振興を祈願する生きびな祭りが始まりました。