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古墳と柿の館

(こふん かき やかた)

古墳群から出土した貴重な遺物や、地域の特産品である柿

古墳と柿の館は、岐阜県本巣市にある本巣市立の博物館です。旧糸貫町が1996年(平成8年)に開設したこの施設では、糸貫町の歴史と柿に関する資料が展示されています。

概要

館内は2つの主要な展示エリアに分かれています。1階の「大地との対話」では、旧糸貫町の古代から近世に至るまでの資料を展示しています。特に古墳時代の展示物が充実しており、船来山古墳群(舟来山古墳群ともいう)から発掘された須恵器、勾玉、雁木玉や復元された石室(154号墳)などが展示されています。

2階の「KAKI スクェア」では、柿に関する資料を展示しています。柿の品種や利用法、加工品の展示、アニメを使った物語やクイズなど、さまざまな情報を提供しています。

船来山古墳群

船来山古墳群は、岐阜県本巣市と岐阜市にまたがる岐阜県最大の古墳群で、古墳数は1,000基以上と推測され、現在までに約300基が発掘されています。この古墳群は平成31年2月26日に国の史跡に指定されました。船来山は濃尾平野の北縁部に位置し、東西約2km、南北約600mの独立丘陵に290基の墳丘墓及び古墳が造られています。東海地方最大級の古墳群であり、古墳時代前期には前方後円墳や前方後方墳が、後期には多数の円墳が築造されました。

1階 大地との対話

1階は「大地との対話」というテーマで、発掘調査された貴重な遺物や旧糸貫町の歴史資料を展示しています。船来山古墳群からの出土品とともに、当時の生活ぶりをうかがい知ることができる展示が充実しています。「昔の生活・今ここに」や「農業は水との戦い」といった展示コーナーもあります。

2階 KAKI-スクエア

2階は「KAKI-スクエア」という柿の資料室です。柿の歴史、品種、利用法、加工品などが展示され、アニメを使った物語やクイズも楽しむことができます。富有柿が本巣市の特産物になるまでの苦労話や、柿に関するさまざまな資料を見ることができます。

出土品の展示

船来山古墳群から出土した遺物は、土師器や須恵器、勾玉、管玉、鉄器、銅鏡、埴輪など多岐にわたります。これらの出土品は近畿地方や大陸との交流を示すものであり、船来山古墳群出土品として岐阜県の重要文化財に指定されています。

船来山古墳群とは

船来山古墳群(ふなきやまこふんぐん)は岐阜県本巣市と岐阜市にまたがる船来山および郡府山上にある古墳時代前期から後期にかけて形成された群集墳です。国の史跡に指定されており、3世紀中ごろから7世紀後半までの400年以上にわたって古墳が造成されました。確認されている古墳の数は290基と東海地方最大級であり、AからSまでの支群に分けられます。

古墳の分類と出土品

船来山古墳群は、時代別に見ると、方形周溝墓ないし土壙墓に分類されるものが3基、前期古墳が20基、中期古墳が3基、後期古墳が202基あります。4世紀後半までは主尾根に造営され、それ以降は支尾根や斜面に造営されました。後期古墳は墳丘が明確に判別できない横穴式石室が多く、墳形は円墳、方墳、前方後円墳や前方後方墳など多様です。

出土品には、土師器、須恵器等の土器の他、勾玉、管玉、切子玉、算盤玉、蜻蛉玉や雁木玉、石釧、耳環等の装飾品、鉄刀、鉄剣、鉄鉾、短甲、馬具、鉄鏃や銅鏃等の武具、鎌、鉈、鑿や鋸などの生活用具、銅鏡や円筒埴輪、朝顔形埴輪などがあります。これらの出土品からは近畿方面及び大陸とのつながりが見いだされるものが多い一方で、尾張系の須恵器は少ないです。出土物は船来山古墳群出土品として岐阜県の重要文化財(考古資料)に指定されており、古墳と柿の館で見学することができます。

主要な古墳

5号墳は前方後円墳で全長60mと船来山古墳群では最大の大きさです。24号墳は円墳で1967年(昭和42年)7月の豪雨による土砂崩れで副葬品が確認され、上方作銘獣形鏡等の鏡5面や鉄剣などが副葬品として見つかりました。26号墳は前方後円墳で後円部の直径が27m、全長43mで4世紀の中期から後期に三段築成で造営されました。27号墳は円墳で、鼉龍鏡(仿製鏡の一種)が出土しています。62号墳は前方後円墳で全長40m超。古墳時代前期の造営とみられ、表面は葺石でおおわれていました。富有柿の里近くにあります。

重要な出土品

98号墳は前方後円墳で全長40m。Q支群に分類される前期古墳で、日本で17例目となる方形板革綴短甲が出土しています。145号墳は円墳でM支群に分類され、石室内床面に棺台の柱穴の可能性がある遺構が見られ、後期古墳中最も古い須恵器蓋坏が出土しています。154号墳は円墳でH支群に分類され、6世紀中葉に造成され、石棺はチャート製で、石室内の土器は追葬のためにまとめられていた状態で出土しました。243号墳は円墳で三角縁六神鏡等5面の銅鏡が出土しています。

赤彩古墳

272号墳および隣接する19号墳、274号墳は石室内部がベンガラで赤く彩色されており、赤彩古墳と呼ばれています。特に272号墳は復元作業が行われ、赤彩古墳の館で年に2回公開されています。

国の史跡指定

2018年(平成30年)には、本巣市側の古墳111基を含む古墳域が国の史跡に指定されました。近隣には、池田町の願成寺西塚之越古墳群や養老町の象鼻山古墳群もあり、地域全体が歴史的価値の高いエリアとなっています。

Information

名称
古墳と柿の館
(こふん かき やかた)

岐阜市・大垣・関ヶ原

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