能郷白山神社(のうごうはくさんじんじゃ)は、岐阜県本巣市根尾能郷(ねおのうごう)に鎮座する神社です。奥宮は標高1617.3mの能郷白山の山頂に位置しています。元々は奥宮が本宮でしたが、地元の人々のために現在の本宮が築かれました。
能郷白山神社の祭神は以下の通りです:
菊理媛神(白山比咩神・白山権現)
伊弉諾尊
伊弉冉尊
養老2年(718年)、泰澄が加賀国白山比咩神社より勧請し創建したと伝えられ、「北陸七白山」の一つとされています(他の神社の一つは大山白山神社)。創建時は「白山妙理権現」と称し、虚空蔵菩薩、十一面観世音菩薩、聖観世音菩薩が祀られていました。明治6年(1873年)に郷社に列し、明治30年(1897年)に現在の社殿が再建されました。平成19年(2007年)には本宮の修復が行われました。
毎年4月13日の例祭では、能郷の能・狂言が行われます。この神事芸能は、能郷の猿楽衆の16戸によって奉納され、国土安穏、五穀豊穫、家内安全を祈願します。猿楽衆は世襲的に能方・狂言方・囃子方の役割を受け継ぎ、毎年4月13日に根尾の能郷白山神社で演じられます。翁面、三番叟面、若女面、尉面、般若面、狂言面や衣装は、室町時代のものとされています。
現在の本殿は明治30年に再建されたものです。
能郷白山神社は多くの文化財を保有しています:
国指定重要無形民俗文化財
能郷の能・狂言
岐阜県指定文化財
和鏡(重要文化財)
能面(重要文化財)
能狂言装束類(重要文化財)
梵鐘(重要文化財)
能狂言本(重要文化財)
供物器(重要有形民俗文化財)
本巣市指定文化財
仏像
紺地金泥法華経
紺地金泥金光明経
鰐口
能管
白山を開いた泰澄大師が山頂から眺めた際に目に留まった山に分霊を祀ったのが始まりとされます。その山が能郷白山で、開山は養老2年と伝えられています。後に村人のために麓に里宮が設けられました。数度の火災により多くの社宝が消失しましたが、藤原時代の仏像が複数残されており、少なくとも平安時代には信仰を集めていたことがうかがえます。
毎年4月13日の例大祭には能楽が奉納され、多くの参拝者で賑わいます。この能・狂言は、世阿弥・観阿弥以前の古い形態を留めており、猿楽に近いものとされています。重要無形民俗文化財に指定されています。また、例祭時に供されていた神饌「ふとう」「ま可り」は、遣唐使由来の唐菓子であり、平成30年の開山1300年祭に復活しました。
この能楽に使用される室町時代以前の能面も岐阜県の重要文化財に指定されています。近年の過疎化や高齢化による後継者不足に悩まされていますが、村人の世襲によって受け継がれてきた能楽は一般に門戸を開き、継承に努めています。
能郷白山神社は、その歴史的・文化的価値から、多くの人々に信仰されています。例祭の能・狂言や豊かな文化財は、地域の重要な遺産として守り継がれています。訪れる際には、その歴史と文化をじっくりと感じ取ってみてください。