歴史
伝承によれば、鎌倉時代の建久年間に高阿弥と那智阿弥の夫婦が伊勢国で救世観音を授かり、現在の釜ヶ谷山の山頂に祀ったのが起源とされています。その後、天文年間に伊勢国の漁師が美濃国からの光に導かれ、観音像を現在の長滝に移したと伝えられています。1571年(元亀2年)頃に「白華山 甘南美寺」として創建されました。
本堂と文化財
戦国時代に建立された本堂は八ツ棟造りの堂々たる建物で、千手観音が祀られています。現在の本堂は寛文年間に造営され、馬頭観音の信仰でも知られています。多くの公営競馬関係者が参詣に訪れる場所でもあります。
大桜
境内の伊自良湖畔に樹齢350年以上のエドヒガンザクラがあり、幹回り3.3m、樹高23mの大桜は県の天然記念物に指定されています。春には見事な花を咲かせ、訪れる人々を魅了します。
寺号の由来
甘南美という名前は「甘南備」や「神奈備」が転じたものとされ、奥の院は甘南備神社とも呼ばれます。楠木正成の夫人・久子が同族全滅後、日本中の神奈備を旅し、伊自良を気に入り甘南備神社に籠ったという伝説があります。
本尊
本尊の十一面千手観音菩薩は行基作と伝えられ、身の丈約1.8m。両脇の不動明王像と毘沙門天像は伝教大師(最澄)作とされています。