東深瀬白山神社は岐阜県山県市東深瀬に位置し、伊邪那美神を祀る白山神社です。旧村社であり、その拝殿は日本国により重要文化財に指定されています。
白山神社拝殿は、文亀2年(1502年)に建造されたとされ、国の重要文化財に指定されています。簡素な佇まいの中にも、屋根のなだらかな勾配や四隅の跳ね上がった線が室町時代の特徴をよく表しています。
境内社には事代主神を祀る西宮子大明神、天照大御神を祀る神明神社、豊受大御神を祀る御鍬神社、伊邪那岐神を祀る別山宮、大山咋大神ならびに大己貴大神を祀る山王神社、大山祇大神を祀る大山祇神社があり、地域の信仰の中心となっています。
東深瀬白山神社の創建は不詳ですが、氏子の記録によれば神護景雲2年(768年)に伊邪那岐命の声が聞こえたため、都に報告して白山三所権現を祀ったのが始まりとされています。明治5年(1872年)には村社に指定され、例祭はかつては3月21日に行われていましたが、現在では4月第1日曜日に変更されています。
重要文化財に指定されている拝殿は、文亀2年(1502年)に平光信を棟梁として建立されました。正面5間、奥行き3間の規模で、屋根は入母屋造りの檜皮葺となっています。建てられてから約500年が経過しており、記録に残るだけで5回の修復が行われています。近年では昭和39年(1964年)から40年(1965年)にかけて文部省の技士の指導のもと修復が行われました。
東深瀬白山神社は、かつての東深瀬村の村氏神であり、その祭りは村全体の祭りでもありました。祭りでは桐で作った男女の人形を藁のツトの真ん中に挿し、桜の造花を挿したオハナが作られます。祭りの行列では桟俵をかぶって箒を持った人が先頭に立ち、神官やお神酒、お供え、オハナと共に歩いていきます。
東深瀬村は鳥羽川を挟んで東側の地域の北東の山沿いに点在する集落でした。耕作地には深い沼が多く、雨が降ると泥海のようになることが多かったといわれています。白山神社は山裾の少し高めの土地に位置し、中世に建立された神社が現在まで残っていることは非常に貴重です。
白山神社は華美ではないものの、その拝殿の前に立つと厳かな雰囲気を感じることができます。室町時代の特徴を残すこの拝殿は必見であり、地域の歴史を見守り続けた証として大切にされています。ぜひ一度足を運んでみてください。