三輪神社は、岐阜県揖斐郡揖斐川町にある神社で、揖斐川の総鎮守として古来から崇められてきました。旧社格は県社で、地域の重要な信仰の場としての役割を果たしています。
大物主大神(おおものぬしのおおかみ)
大物主大神は大国主大神の和魂であり、地元では『ダイコク様』や『明神さん』と呼ばれて親しまれています。彼は幸福や繁栄をもたらす神として広く信仰されています。
三輪神社の由緒は古く、神武天皇の御代に遡ります。長野県の諏訪大社の御祭神、武御名方富命が当地に三輪神社を造営し、三輪明神を祀ったと伝えられています。三輪族の人々は農耕に従事し、美しい農地を次々と開発しました。都が京都に遷った頃には、天台宗の祖である伝教大師が当社に参り、谷汲の横蔵寺を創設し、三輪神社を守護神として崇敬しました。
中世の神仏習合時代に入ると、三輪神社は天台宗の守護神として広く崇敬を集めました。記録によれば、天台宗の開祖である伝教大師(最澄)がこの地を訪れ、谷汲横蔵寺を創設したと伝えられています。
創建時期は不詳ですが、奈良時代には大野郡大神郷(おおみわごう)として存在し、古代より三輪氏がこの地で大きな力を持っていたと考えられます。803年(延暦22年)には最澄がこの地で三和次郎大夫藤原助基と出会い、横蔵寺を建立したという伝説が残っています。
本殿は1315年(正和4年)に再建され、その後1577年(天正5年)に現在の地に移されました。江戸時代初期には揖斐城城主西尾光教、揖斐陣屋の旗本岡田善政によって修復されましたが、1959年(昭和34年)の伊勢湾台風で大きな損傷を受けました。現在の本殿は1961年(昭和36年)に再建されたものです。
三輪神社のご祭神である大物主大神は、別名大国主大神とも呼ばれ、ダイコク様として広く信仰されています。この神様は万の縁を結ぶムスビの神様で、縁結び、厄除け、家内安全、交通安全、病気平癒、方位除けなど多岐にわたるご神徳を持っています。
毎年5月4日、5日に行われる揖斐祭(いびまつり)は、三輪神社の例祭として広く知られています。5月4日に例大祭が、5月5日に神輿御渡が行われ、豪華絢爛な5台の山車とともに稚児歌舞伎が上演されます。神輿渡御には本社の大神輿3基と各町内からの青年・子供神輿11基が賑やかに町内を巡行します。
岐阜県指定重要有形民俗文化財
揖斐祭の芸やまは、当地の歴史を物語る重要な文化財です。揖斐川歴史民俗資料館には揖斐祭に関する展示が常設されており、5輌の山車の模型などが展示されています。
三輪神社には以下の摂末社が存在します。
神明神社(しんめいじんじゃ)
春日神社(かすがじんじゃ)
厳島神社(いつくしまじんじゃ)
三霊神社(さんれいじんじゃ)
三輪神社は、古代から続く信仰の場として、地域の人々に深く愛されてきました。歴史あるこの神社は、大物主大神を祀り、多くのご神徳を持つとともに、揖斐祭などの文化的なイベントを通じて地域の伝統を継承しています。三輪神社を訪れることで、その歴史と文化を感じることができるでしょう。