「みょうがぼち」は、岐阜県本巣郡北方町北方町をはじめ岐阜市周辺で、小麦やそら豆などの初物を使って作り始められた和菓子。ぼちとは、「お餅」のことを言う方言で、練り上げた小麦粉で皮を作り、つぶしたそら豆の餡を包み込んだものをミョウガの葉で巻くことから「みょうがぼち」と言われる。みょうがの葉のある六月から十月までの間に作られるが、香りは早い時期の方がよいため、初夏を彩る郷土菓子として、昔から農家が田植え上がりや農休みに食べられていた。少々厚めの皮をひと口ほおばると“そら豆”のやさしい甘味が広がり素朴でどこか懐かしい味わい。
「みょうがぼち」は、そら豆で作ったあんを小麦粉で作った皮で包み、みょうがの葉で包んで蒸す、素朴な味わいの郷土菓子です。「ぼち」は「餅」の意味で、通常はもち米を使った団子を指しますが、伝承地周辺では小麦粉を練ったものを「ぼち」と呼んでいます。
初夏になるとみょうがの葉が繁茂し、各家庭で作られた「みょうがぼち」は、田植えや農作業の合間に、おやつとして楽しまれていたと伝えられています。昔は「田植えぼち」「野休みぼち」とも呼ばれていました。みょうがぼちに使用されるみょうがの葉には殺菌効果があり、食品が傷みやすい初夏から夏にかけての携帯食として利用されていました。また、あんに使われるそら豆には鉄分やタンパク質が含まれており、農作業の疲れを癒すのに最適なおやつとされています。
「みょうがぼち」は初夏から秋にかけてみょうがの葉が出回る時期に作られ、農作業の合間に畑や田んぼで座りながら楽しむ風習があります。そら豆を煮てあんを作り、小麦粉に水、砂糖、塩を加えて皮を作り、あんを包み、みょうがの葉で包み蒸します。作られる時期は6月から10月までで、初めの方がみょうがの葉の香りが良いとされています。地域によっては小麦粉だけでなく、米粉を混ぜることもあります。